大判例

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仙台高等裁判所 昭和29年(う)515号 判決

原判決はその判示第二において、被告人は朝鮮人であるところ、昭和二十七年四月十四日頃、連合国最高司令官の承認を受けないで、朝鮮から漁船で福岡県小倉市附近に上陸して不法に本邦に入国したものである旨の事実を認定し、之を外国人登録令(昭和二十二年勅令第二〇七号)違反に問擬したものである。故に論旨がいう如き被告人が日本国との平和条約(略称平和条約)発効後外国人であるか否かは、そもそも原判決の問題としている事柄ではなく、その点を云々する論旨は既にこの点において理由がない。又平和条約発効以前即ち本件当時のこととしても、原判決は被告人を朝鮮人として問題にしているのであつて、国際法上の外国人であるか否かを問題にしているのではない。尤も原判決はその適用法令として一般外国人の不法入国の該当法条たる外国人登録令第三条第十二条のみを掲げているので被告人を一般外国人と認めたかの観がないでもないが、実はそうではなく、同令第十一条により朝鮮人たる被告人を外国人とみなした上、右第三条第十二条を適用しているものであることは判文全体から見て明かである。又外国人登録令が朝鮮人を同令第二条所定の外国人とみなしているのも、朝鮮人が国際法上外国人であることを決定しているのではなく、むしろそのことと関係なく、単に朝鮮は、カイロ宣言及びポツダム宣言以来わが国の主権から離脱すべく定められ、かつ、わが国の降伏以来事実上わが国の支配から離脱して国際法上特異な存在をなし、朝鮮人の本邦えの入国及び居住滞在に関しては一般外国人と同様の取扱をする必要があつたことに対処し、それらのことに関し一般外国人と同様の規制をする旨を定めたに過ぎないものと解すべく、かつ、かくの如き措置が国際法上又は憲法上違法視さるべき理由を発見し得ない。以上の次第で、原判決は本件当時の被告人を国際法上の外国人であるか否かを決定したものではなく、かつ、被告人の外国人登録令に違反した入国を犯罪として認めた原判決には憲法違反の廉なく論旨は理由がない。

(裁判長裁判官 鈴木禎次郎 裁判官 蓮見重治 裁判官 細野幸雄)

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